よくあるモルモットの病気
皮膚の病気
▶︎ 皮膚糸状菌症
免疫の未熟な若いモルモットで多く発症します。皮膚の表面にカビが繁殖し、脱毛とかさぶたを特徴とする皮膚炎を起こします。若いモルモットはカビに対する抵抗力が弱いので、無治療だとハゲが全身に広がってしまいます。また、細菌が原因ではないので抗菌剤や抗生物質は効果がありません。
診断は顕微鏡でのフケ・かさぶたの観察、真菌の培養により行います。典型的な症状を示している場合は、すぐに診断できますので、当日から早速治療を開始することができます。多くは治療に反応してよくなっていきます。また、一度全快すると、免疫により再発はあまり起こりません。
▶︎ モルモットズツキダニ
背中の被毛にしがみつくように寄生するダニの一種で、時折見られます。背中に粉をふいたような粒が多数認められるのが特徴です。無症状のことが多いですが、多数寄生することで、痒みや脱毛を起こすことがあります。
被毛を採取して虫体を顕微鏡で確認することで診断します。当院ではセラメクチンなどの駆虫薬を2週おきに3回程度投薬して治療します。
▶︎ マラセチア症
犬で多い酵母型真菌(カビ)による皮膚病です。脂漏・脱毛・皮膚炎・激しい痒みなどを特長とします。セロハンテープを患部に貼り付け、染色して顕微鏡で真菌を確認して診断します。抗真菌シャンプーによる薬浴、抗真菌剤の内服などを使用して治療します。
腫瘍
▶︎ 皮膚腫瘍
毛包腫(Trichofolliculoma)、脂肪腫といった皮膚の腫瘍が多く見られますが、良性である場合も多く、最初から麻酔下で切除とはなりません。
診察時には針生検(針で吸引して顕微鏡観察)をして、まず悪性度などを判断します。明らかに悪性度が高いもの、良性でも生活上支障のあるものは手術を考慮します。
針生検で良性と思っても、実際は悪性であることがあります。腫瘍によっては手術で切除して丸ごと病理検査しない限り診断がつきません。そのため、サイズや周りの組織への浸潤度をみながら、手術を考慮すべき場合もあります。
▶︎ 乳腺腫瘍
乳腺の腫瘍は、犬や猫では主に雌に起こりますが、モルモットでは雄にも多く見られます。50%程度が悪性と言われており、わずかながら転移の可能性もあります。片方または両方の乳房が腫れ、血様の分泌物が見られるときは、早めにご相談ください。
体力があるモルモットの場合は手術により乳腺の摘出を行います。両側に乳腺の腫れが生じているケースでは、乳腺を両方とも切除しなければいけないこともあります。