主として不正咬合などの歯科治療に重点をおいて対応しています。皮膚病その他一般的な診療も行います。
デグーのよくある病気:不正咬合
デグーはウサギなどの草食動物と同様に不正咬合によるトラブルが比較的多い動物です。
日頃から牧草をしっかり食べ、おやつや穀物の過給(リンの摂りすぎ)などに気をつけることで、ある程度予防は可能です。不正咬合が進むと口の周りがよだれで汚れたり、歯ぎしり、口回りを掻くなどの症状が現れます。重度の場合は食欲低下により栄養障害に陥ってしまいます。
レントゲン検査・口腔内検査
不正咬合などの口腔内の異常、特に臼歯の異常は外からの視診や触診では判別が難しいため、レントゲン撮影や口腔内検査を実施することがあります。
健常なデグーの頭部
切歯の不正咬合と臼歯の折損(矢印)
不正咬合の治療
当院で一番最初のデグーの患者は、当院で保護したグッチ君でした。
生まれつきの不正咬合のため、彼の前歯は2週間に1回程度削る必要がありました。健康な個体と比較して上顎が短かかったため、前歯が上手くかみ合わないことが原因でした。前歯(切歯)がうまく咬合しないと、ペレットを齧って細かくしたり、奥歯での正常な咀嚼をすることが困難になるため、食欲が落ちてきます。
全身麻酔下の切歯の処置
解説1
吸入麻酔で眠っているグッチ君を横に寝かせています。深く眠っているので、処置に伴うストレスはほとんど感じていません。
下顎の前歯(切歯)のうち、一本だけ伸びすぎています。上下とも、全体的に切歯が過長となっています。
解説2
高速回転するダイヤモンドディスクで、伸びすぎている前歯を慎重に切断します。
口の中を切らないように、割り箸でガードしています。
解説3
上の歯も同じように切断します。
解説4
上下の歯がきれいに揃いました。
処置は2〜3分程度で終了し、麻酔を切れば約5分ほどで目が覚めます。1時間ほど経つとご飯も食べ始めます。
処置の間隔は不正咬合の種類によりますが、当院のグッチ君は約1ヶ月に1度は行っています。